各種検査
当クリニックでは、泌尿器に関する検査を中心に各種実施しています。泌尿器がんをはじめ、早期発見・早期治療に努めることで、重症化するケースを免れるのはもちろん、早期の回復につながることも多々あります。自覚症状に乏しい病状も泌尿器系には多く存在します。お心当たりがある方、少し不安な方、一度検査をしてみてはいかがでしょうか。
前立腺がんPSA検査
PSAは「前立腺特異抗原(Prostate-Specific Antigen)」の略語で、前立腺の上皮細胞から分泌される蛋白です。このPSAは数値として表すことができ、血液検査によって計ることが可能です。計測したPSA値が基準値とされている数値より高い場合に考えられる疾患は、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎などです。これらのうち最も重要となる疾患が、前立腺がんです。前立腺がんがあると、がん細胞は多量のPSAを血中に放出するため、がんの存在が疑われるのです。検査の結果、PSA値が基準値を超えて高いような場合は、必要に応じて前立腺生検を受けることになります。
前立腺生検
前立腺生検とは、前立腺の組織に針を刺すことで細胞を採取し、病理所見を確認する検査です。これにより、がん細胞の有無を調べ、がんであるか否かの確定診断ができます。
まず採取をするにあたり、出血を伴うことがあるので止血機能や感染症についての検査を行い、異常がなければ、後日生検を行います。検査の流れとしては、最初に十分な麻酔を行い、超音波で前立腺の状態を確認します。その後、会陰部から針を挿入し、前立腺がんが発症しやすい箇所に向けて6~12箇所ほど刺して細胞を採取します。検査自体は10分ほどで終了します。検査後は、麻酔の効力が解消するまでは安静にしていただきますが、その後問題がないようでしたらご帰宅ください。多くの病院では、前立腺生検は一泊の入院が必要とされていますが、当クリニックでは日帰りで行うことができます。なお、検査の結果は1~2週間ほどかかります。
膀胱鏡検査
尿道の中に内視鏡を挿入して尿道や膀胱を観察する検査を膀胱鏡検査と言います。検査では、局所麻酔の後に細くて長い金属製の筒である内視鏡を尿道口から挿入します。尿道が短く真っすぐな女性は苦痛をほとんど感じないのに対し、尿道が長くそして曲がっている男性は苦痛が伴う場合が少なくありません。内視鏡については主に軟性膀胱鏡と硬性膀胱鏡の2種類あり、当クリニックでは軟らかくて刺激が少ない軟性膀胱鏡による検査を行っています。また、NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)システムにより、形態的に目立たないがために見つけにくい種類のがんの発見も容易にしています。
膀胱鏡は尿道や膀胱の炎症や腫瘍を観察することができ、腫瘍と思われる箇所があればその細胞の組織を採取して、生検を行います。異常があれば、検査中にその都度撮影の様子をモニタ超しで確認することができます。同検査は、膀胱がんか否かを検査するのに最も有効な手段であり、そのほかにも膀胱結石や尿道狭窄等の診断に用いられています。検査時間は何も問題がなければ5分ほどで終了しますが、生検などを行うと30分ほどかかることもあります。検査後は、しばらく安静の状態になりますが、その足で帰宅することができます。
CT検査
CTはcomputed tomographyの略です。日本語ではコンピュータ断層撮影装置と言い、X線装置とコンピュータを組み合わせた医療機器です。CTはX線を360度回転しながら照射して人体の横断面を撮影し、各方向からの像をコンピュータ処理することで、その平面画像を得る検査装置です。泌尿器関連の検査では、腎臓がん、膀胱がん等の腫瘍性疾患をはじめ、腎・尿管結石の診断や経過観察などに用いられます。検査時は、ドーナツ状の機械の中で撮影を行うのですが、撮影時は呼吸を止めていただきます。
なお、検査をするにあたり直前の食事(検査が午前の場合は朝食、午後の場合は昼食)は基本的には控えていただきますが、水分の摂取はかまいません。
超音波検査
超音波(耳で聞こえる音よりも周波数が高い音)を調べたい臓器に当て、返ってくるエコー(反射波)を画像に映し出し、臓器の様子を見る検査です。負担が少なく、簡便に行えます。腎・膀胱がん、腎・尿管・膀胱結石、前立腺肥大症などのスクリーニング検査として優れています。ただし、膀胱を観察するには、200ccくらいの尿を溜める必要があります。
レントゲン検査
泌尿器科では、造影剤を用いて尿路を映し出すレントゲン検査を行います。検査では、造影剤を血管に注射(点滴)した後、レントゲンを撮影します。造影剤を体内に入れることで尿路の流れを確認することができ、単なるレントゲン撮影では診ることができなかった腎臓、尿管、膀胱の形態、機能までをはっきりと映し出すことができます。これにより尿管結石や尿路の通過障害、尿路のがんなどを診断することが可能になります。なお、この検査は腎盂造影検査と呼ばれています。
検査直前の際は食事を控えます。検査時間は造影剤を注射する場合は30分ほどですが、点滴する場合は1時間以上かかります。
尿路造影検査
尿路造影検査は、尿道口から膀胱に向けて逆行性に造影剤を注入して、レントゲン撮影を行います。これにより、尿路がレントゲン写真で白く写り、尿道の状態や膀胱の機能および形などを調べることができます。主に膀胱や前立腺、尿道を検査する時に用います。検査時間は20分ほどになります。